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悔しさを乗り越えるために今がある


中倉一志=取材・文・写真
とにかくよく走る。その姿を見ていると、彼を一番最初に取材した時のことを思い出す。それは、いまから4年前の1月のこと。福岡U-15、U-18を経てトップチームに昇格したばかりの彼をアビスパの公式モバイルサイトで紹介するためにインタビューした時のことだった。「自分の特長は走ること」と話し、次のように続けた。「走らなかったら牛之濵じゃない」。今年で4年目。その間、牛之濵は、いつも、いつも、走り続けて来た。

1年目は、高卒ルーキーとしては上々のスタートだったように思う。Jリーグ初出場は同年5月29日に行われた第13節名古屋グランパス戦(アウェイ)。出場時間は4分間だったが、J1の強豪相手に思い切りピッチの上を走った。初得点は第32節のモンテディオ山形戦(アウェイ)。後半76分に成岡翔に変わってピッチに登場すると、88分に重松健太郎(現、栃木SC)からのラストパスを受けてゴール。そして90分+2分には、自陣で得たFKからのロングフィードに反応してスルスルと裏へ抜け出すと、見事なトラップから右足を振り抜いて自身2点目を記録した。この年はリーグ戦4試合、ナビスコカップ1試合に出場して2得点。翌シーズンの活躍が期待された。

だが、2年目は苦しみの日々だった。チームが始動した時点ではコンディションの良さを窺わせていたが、チャンスを掴めずに、結局、リーグ戦出場は0。チームの成績もクラブ史上最低を記録し、自身も、チームも悩み続けた日々だった。

再び試合出場の機会が与えられたのは、昨シーズン第8節にレベルファイブスタジアムで行われたギラヴァンツ北九州戦の77分。1点リードの場面も、北九州が猛反撃を展開していた難しい時間帯だったが、いつものように走りきって試合を終わらせた。試合に出られない悔しさと、1年半ぶりに試合に出る喜びをピッチにぶつけた試合だった。そして、このシーズンは、コツコツと努力を積み重ねて途中出場ながら11試合に出場して1得点を記録。満足はできなかったが、次に向けての足がかりを掴みかけたシーズンだった。

そして4年目を迎えた今シーズン。牛之濵は、これまでと変わらぬ姿で、これでもかとばかりにピッチの上を走り回っている。正直に言えば、キャンプ中に行われた九州学生選抜とのトレーニングマッチで2得点を記録したものの、その後は思うようにアピールできない日々が続いている。鹿島アントラーズとのプレシーズンマッチでは、ベンチ入りメンバーで1人だけ試合に出場することができず「怪我人が多い中で、自分だけが試合に出られなかった。その事実を受け止めて、これから何をするかだと思う。何が足りないのかを、もっと考えないといけない。プシュニク監督になってから自分は2年目。言われたことを理解して、もっと深めていかないと去年1年間の意味がない」と悔しい胸の内を明かした。

そして、牛之濵は、自分に足りない何かを求めて今日も走り続ける。運動量も、スタミナも問題はない。ただ、チームが始動とて間もなく「走るだけじゃなく、メリハリをつけてやっていかないとミスも増えるし、周りも見えない」と本人も話していたように、いかにして走りの質を上げられるかが問われている。そのためには何が必要なのか。簡単に答えは見つからない。けれど、誰も答えは与えてくれない。胸をよぎる焦りや、悔しさを乗り越えて自分で手に入れない限り、その何かは見えてこない。それがプロの世界だ。

そんな彼の姿を、地元のサポーターは遠くから見つめている。何もしてあげられないもどかしさを感じながら、それでも、牛之濵が走る姿を見つめ続けている。そして、心の中で小さく囁く。「牛之濵、頑張れ」。牛之濵がベンチから呼ばれると歓声が沸くのは、そんな気持ちの表れ。昨シーズンの栃木戦でのゴールの後、アビスパ福岡総選挙で番外から一気に5位になったのも、サポーターが想いを形にしたためだ。ここから先は自分で何かを見つけるしかない。そして誰もが、レベルファイブスタジアムのピッチで光り輝く牛之濵の姿を待っている。

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