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【無料記事】【中倉's Voice】名古屋戦の敗戦から何を学び、これからの戦いに何を生かすのか。いまそれが問われている。


【中倉一志=文・写真】
クラブの力とは、経営力やチーム力だけを指すのではない。それは、クラブフロント、職員、監督をはじめとするチームスタッフ、選手、さらに言えば、ファン、サポーター、メディア等々、クラブに関わるすべての人たちの力の総和。リーグ戦はチーム力を競うのではなく、クラブの総力を争う戦いと言っていい。だからこそ、名古屋戦の敗戦は、どの敗戦よりも悔しさが滲む。敗れたからには、細かなところにはいくつもの課題がある。だが、それ以上に、クラブとしての力の差を見せつけられた試合だったからだ。

正直な感想を語れば、名古屋の印象は前半戦に戦った時と大きくは変わらない。また、圧倒的な攻撃力に反し、守備に脆さを抱えているのも変わらない印象だった。高いポゼッション能力と得点力はJ2では際立ち、押し込まれる時間帯も増えるのだが、集中力を切らさなければ、それを得点に結びつけさせない戦いは可能。実際、一方的にゲームを支配されながらも、流れの中から崩された印象はない。

前回対戦時と違っていたのは、ガブリエル シャビエルの存在。彼がひとたびボールに絡むと、その瞬間に名古屋は別のチームになった。J2では規格外と言える実力は、まさに「助っ人」の名にふさわしい。もちろん、アビスパが獲得したウォン ドゥジェ、仲川輝人も、チームのやり方を踏襲しながらバージョンアップするという意味では、効果的な補強だった。だが、シャビエルは別格。補強がチームにもたらした影響の大きさという点で言えば、名古屋の強化策がアビスパを上回っていることは認めざるを得ない。

一方、メディアという観点から見ても力不足を意識せずにはいられなかった。地元での露出が増えたとはいえ、常時、アウェイ取材に帯同しているのは私と西日本新聞社の記者の2人だけ。この日は、古くから熱心にアビスパの取材を続ける某TV局のディレクターを含めて3人での取材だった。もちろん、J2の場合は、どのチームであってもアウェイ取材に訪れるメディアは少ない。だが、具体的にJ1昇格を狙っているクラブ、あるいは、実際に昇格争いの主役を演じているクラブは別。アウェイであっても多くのメディアが取材に足を運ぶ。しかし現状では、アウェイ取材を行う福岡のメディアは少ない。

ファン、サポーターの熱という意味でも、名古屋との差を痛感させられた。ゴール裏を赤く染める迫力は、レベルファイブスタジアムのそれとは大きく違う。試合の流れに応じて抑揚をつけたコールには唸らされるばかりで、チームの一員として戦っている気持ちが手に取るように伝わって来た。もちろん、レベスタの熱い応援も選手たちの力になっている。ゴール裏のチャントと自然発生的に起こる手拍子のコラボレーションは、レベスタ独特の雰囲気を作り出し、クラブを超えて、熱いスタジアムとして知られている。だが、パロマ瑞穂スタジアムの熱気は、レベスタのそれを上回るものだった。

もちろん、アビスパに関わる人たちが、それぞれの立場でクラブのために行動していることに疑いはない。誰もが精一杯にクラブを支えている。名古屋との間に差があったとしても、それは恥ずかしいことでもなければ、批判の対象になるものでもない。ただ、J1に定着し、いずれはJ1で上位争いをするクラブになるには、まだまだ足りないものがある。それを得るためには、自分たちの現在地を正確に把握し、あるべき姿との間にある差を埋めるために何をしなければいけないのかを整理することが必要だ。

「これまでの力しかないという現状をしっかりと受け止めながら、これからどうしなければいけないかということ。その一方で、今日は負けたけれど、うちの方が順位は上。いままで積み上げてきたものがあるから、この順位にいるということを分かりながらプレーすることが大事」
これは名古屋戦終了後のミックスゾーンでの岩下敬輔の言葉だが、それはチームに対しての言葉だけではなく、アビスパに関わるすべての人たちに対する言葉だ。

さて、クラブとしての力の差を感じさせられた名古屋も、昨日(8/26)、横浜FCに敗れた。サッカーはいつでも、どんなチームでも、何が起こるか分からない。そんな中、アビスパとアビスパに関わる人たちがやらなければいけないことは、自分たちの手でコントロールできないことに気を病むのではなく、自分たちがコントロールできることに、すべての力を注ぐこと。足りない何かを手に入れるために戦うことだ。これまで積み重ねてきた勝点55は、自分たちさえ勝ち続ければ、J1自動昇格を手に入れられることを意味している。そして視野に置くのは、現在首位に立つ湘南。ピタリと食いついて逆転優勝のチャンスを待つこと。自分たちさえ勝ち続ければ、そのチャンスは必ずやってくる。

そのために最初に越えなければいけないのは水戸ホーリーホック。格下と甘く見ては足下を救われる。名古屋戦で感じたことを胸に、いま持てる力のすべてをぶつけて勝利を掴まなければならない。それが、ラスト13試合を勝ち続けるスタートになる。その先には、必ず歓喜の瞬間が待っているはずだ。

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