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その男の名は西田剛

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2013.5.4「博多どんたくパレード」にて 【中倉一志=写真・文】
改めて振り返ってみると、実に多くの選手たちと接してきたことに、いまさらながら驚く。正直に告白すれば、相性のいい選手もいれば、そうでない選手もいた。けれど、どの選手も、我々と福岡の町を代表して戦っている選手。誰もが等しく大切だった。

そんな中でも、特別に記憶に残る選手たちがいる。そして彼もまた、そんな選手の1人だ。西田剛。アビスパ福岡に在籍したのは2012年からの2年間。残したリーグ戦の記録は61試合出場、8得点。記録は特筆するものではない。けれど、彼は我々の中に強烈な印象を残した。不器用だけれど(失礼)、ただがむしゃらに、ただ情熱的にゴールを目指す姿は、アビスパに関わる人たちの心を捉えた。

初めて会ったのは2012年1月17日。アビスパ福岡の新体制発表記者会見でのことだった。
「横浜FCのサポーターからは『浜の爆撃機』というニックネームをつけられていたのですが、横浜では全く爆撃することができず悔しい思いをしました。そういう悔しい思いの中、アビスパさんからオファーをいただきましたので、このチームで活躍し、チームに貢献できることを楽しみにしています。爆弾はたくさん積み込んできたので、福岡ではたくさん爆撃したいと思います」
そんな挨拶をする西田に、何だか面白い選手がやってきたなあと思ったものだった。

サポーターが待ち望んでいた、レベルファイブスタジアムでの初爆撃は2013年5月26日、J2第16節・岐阜戦でのこと。この試合は、福岡らしさを全く出せずに岐阜に大苦戦。1-1のまま時間だけが刻々と過ぎていった。引き分けやむなし。そんな空気が漂い始めた86分、西田はゴールへの想いを爆発させた。

尾亦弘友希の左足から放たれるコーナーキック。そこへ、西田が体ごと投げ出すように頭から飛び込む。次の瞬間、ゴールネットが大きく揺れた。沸き上がる歓声の中、西田はユニフォームを脱ぎ、振り回しながらサポーターのもとに一目散に駆け寄る。もちろんイエローカードだ。けれど、誰もそんなことは気にしない。ゴールへの想いを全身で表現した西田に、スタジアムに集うすべての人の気持ちを代弁するゴールに、スタジアムは歓喜の渦に包まれた。
プシュニク監督にして「試合のことは忘れよう。ただ、素晴らしいゴールについては覚えておこう」と言わしめたゴールは、いまも、レベルファイブスタジアムに足を運ぶ人たちの心に焼き付けられている。

そして、彼を語る上で欠かすことの出来ないゴールが、2013年10月6日、J2第36節・北九州戦で挙げたゴールだ。6戦勝ちなし、5連敗で迎えた福岡ダービー。チームを重苦しい空気が包んでいた。西田がピッチに登場したのは62分。試合は1-0とリードしていたものの、北九州の猛攻の前に、いつゴールを決められてもおかしくない状況だった。だが、西田は力の限りにピッチの上を走った。「この試合だけは勝たなければいけないんだ」。そんな気持ちがスタンドまで伝わってくる。その気持ちが形になったのは90分+6分。カウンターからゴール前へ走り込んだ西田は、転がりながらシュート。ふわりと浮いたボールがゴールに吸い込まれる。「西田~!」。その時は自分が記者であることを忘れていた。

歓喜の中、サポーターのもとに一目散に走る西田。そして、サポーターが掲げたダンマクに書かれた「意地」という言葉をバンバン叩いた。「試合中に『意地』という文字が見えた。この試合はそういうことなんだと思ってプレーしていた」(西田)。どうにもならない状況の中で迎えた試合は、技術も、戦術も関係なく、ただ、意地と誇りだけをかけて戦っていた。そして西田は、レベルファイブスタジアムでの初爆撃の時と同じように、自分の意地、サポーターの意地、そして福岡に関わるすべての人たちの想いをゴールという形で表した。

その西田が愛媛の選手としてレベルファイブスタジアムに帰ってくる。アビスパの選手の誰もが、注意すべき選手として西田の名前を挙げる。それもそうだろう。こういう時に熱いゴールを挙げるのが西田だからだ。
けれど、今日だけは彼が特別な選手であることを忘れよう。決して爆撃を許さない守備を見せよう。それだけではない。愛媛ゴールを、これでもかとばかりに爆撃しよう。それが彼に対する愛情表現。そして、私たちの記憶に刻んでくれたゴールへの恩返しだ。

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